陶芸で使う土

粘土の種類や特徴

色と質感のちがう何種類かの粘土を、切り口が見えるように並べた写真

同じ形をつくっても、土が変われば、焼き上がりの色も、手ざわりも、重さも変わります。器の「土台」になる粘土のことを知りましょう。

このページの内容

  1. 01これは何か
  2. 02なぜ必要なのか
  3. 03どんな点に気をつけるのか
01

これは何か

ひとことで言うと陶芸の土(粘土)は、岩石が長い年月をかけて細かく砕けてできたもの。水を含むと自由に形を変えられ、焼くとかたくなる性質をもっています。

粘土の正体

粘土は、長石(ちょうせき)などを含む岩石が、雨や風に何万年もさらされて細かく砕け、変化してできたものです。粘土の粒はとても小さく、薄い板のような形をしています。この板と板のあいだに水が入りこみ、すべり合うことで、押せばへこみ、のばせばのびる、あのやわらかさが生まれます。この「形を変えて、そのまま保てる」性質を可塑性(かそせい)といいます。

陶芸用に売られている土の多くは、1 種類の粘土だけでできているわけではありません。性質のちがう粘土に、長石や珪石(けいせき)、砂などを混ぜて、形がつくりやすく、焼いても割れにくいように調合されています。

主な土の種類

白い粒が混じったざらっとした土と、きめ細かくなめらかな土の切り口を並べた接写
左は砂や長石の粒が混じったざっくりした土、右はきめ細かくなめらかな土。粒の大きさで、手ざわりもつくりやすさも変わります。

土の名前は、産地や色、焼き上がりの性質で呼び分けられています。代表的なものを紹介します。

土焼き上がり特徴
信楽(しがらき)の土明るいベージュ〜淡い茶色。白い粒が点々と出る素朴な肌粒がやや粗く、腰(こし)があって形が崩れにくい。手びねりにもろくろにも向き、はじめての人にも扱いやすい
赤土(あかつち)赤茶色〜こげ茶色鉄分を多く含む。温かみのある色で、釉薬を掛けると落ち着いた色合いになる
白土(しろつち)白〜クリーム色鉄分が少ない。釉薬や絵の具の色がきれいに出る
黒土(くろつち)・黒泥(こくでい)黒〜こげ茶色土に黒い顔料などを混ぜたもの。白い化粧土や釉薬との対比が映える。やや腰が弱く、値段も高め
半磁器土(はんじきど)白く、かため陶器の土と磁器の土の中間。白さと扱いやすさのバランスがよく、洋食器のような器に
磁器土(じきど)純白で、薄い所は光に透ける石の粉が主な原料。粒がとても細かく、粘りが少ない。乾燥や焼成で割れ・歪みが出やすく、慣れた人向き
荒土(あらつち)・シャモット入りの土ざっくりした力強い肌焼いた土を砕いた粒(シャモット)や砂を混ぜた土。乾燥や焼成で割れにくく、大皿や大きな鉢、オブジェに向く

同じ「信楽の土」「赤土」でも、メーカーや商品によって性質はちがいます。

02

なぜ必要なのか

ひとことで言うと土は、つくりやすさ・焼き上がりの表情・使い心地のすべてを決める器の土台です。つくりたいものに合った土を選ぶことが、失敗を減らし、思い描いた器に近づく近道です。

焼き上がりの色が変わる

土の色を決めるいちばんの要素は、土に含まれる鉄分です。鉄分が多いほど、焼き上がりは赤みや茶色が強くなります。同じ透明の釉薬を掛けても、白い土なら白い器に、赤土なら茶色い器になります。色のついた釉薬も、下の土の色が透けて、仕上がりの色合いが変わります。

つくりやすさが変わる

粒の粗い土は、腰が強く、多少力を入れても形が崩れにくいので、大きなものや厚みのあるものに向いています。一方、粒の細かい土は、なめらかで薄くのばしやすい反面、乾くときの縮みが大きく、ひびが入りやすい傾向があります。つくりたい形に合わせて、土の性格を選ぶことが大切です。

使い心地が変わる

陶器は、焼いたあとも土の中に小さなすき間が残り、少し水を吸います(吸水性)。そのおかげで、ぽってりとした温かみがあり、熱いものを入れても持ちやすくなります。磁器は、よく焼き締まって水をほとんど吸わず、薄くてかたく、汚れがしみこみにくい器になります。同じ湯のみでも、土によって重さも、口当たりも、育ち方もちがいます。

縮み方と焼く温度が、土ごとにちがう

土によって、乾燥と焼成で縮む割合(収縮率)も、ちょうどよく焼き締まる温度もちがいます。焼く温度に合わない土を使うと、低すぎれば焼き締まらずに水がしみ、高すぎれば溶けて歪んでしまいます。土選びは、焼き方を選ぶことでもあるのです。

03

どんな点に気をつけるのか

ひとことで言うと土は乾きやすく、ほかの土と混ざるとトラブルのもとです。「乾かさない」「混ぜない」「ちょうどよいかたさで使う」の 3 つを守りましょう。

使わない土は乾かさない

粘土は、空気にふれているだけでどんどん乾いていきます。使わない分はすぐにビニールで包み、作業中も濡れた布をかけておきます。表面だけが乾いた土は、そのまま使うとひびの原因になるので、よく練り直してから使います。

ちがう種類の土を混ぜない

種類のちがう土は、縮み方も焼き締まる温度もちがいます。知らないうちに混ざると、焼いたときにその部分だけ割れたり、はがれたりすることがあります。土を替えるときは、作業台や道具をきれいに拭いてから使いましょう。赤土や黒土のあとに白い土を使うと、色が移ることもあります。

かたさは「耳たぶくらい」

やわらかすぎる土は形がへたりやすく、かたすぎる土はのばしたときにひびが入ります。指で押したときに、耳たぶくらいの弾力があるのがちょうどよいかたさです。かたさを変えたいときは、土練りで調整します。

焼く前の土は、何度でもやり直せる

形が気に入らなくても、焼く前の土なら、水に溶かして乾かし、練り直せばまた使えます(再生土)。ただし、一度焼いた土は二度と粘土に戻りません。再生した土は空気が入りやすいので、ふだん以上にしっかり練ってから使います。

手と排水にも気づかいを

土は手の脂分を吸うので、作業のあとは手が乾燥しがちです。ハンドクリームでいたわりましょう。また、土を流しにそのまま流すと排水管がつまる原因になります。手や道具は、まずバケツの水で洗い、土を沈めてから上の水だけを流すのが基本です。

教室では

教室には 10 種類の粘土があります。つくりたい器のイメージに合わせて、どの土がよいか、講師に気軽に相談してください。

写真はイメージです。