陶芸とは

土から器が生まれるまで

粘土のかたまり、乾かした茶碗、素焼きの茶碗、本焼きした茶碗を順に並べた写真

やわらかい土が、なぜ水を入れても溶けないかたいうつわになるのでしょう。まずは、陶芸のいちばん大きな流れをつかみましょう。

このページの内容

  1. 01これは何か
  2. 02なぜ必要なのか
  3. 03どんな点に気をつけるのか
01

これは何か

ひとことで言うと陶芸とは、粘土で形をつくり、窯(かま)で高い温度で焼いて、二度と土に戻らない「やきもの」に変えるものづくりです。

土が「石のようなもの」に変わる

陶芸(とうげい)は、粘土で器や置きものの形をつくり、窯で焼いて仕上げるものづくりです。焼いてできたものを「やきもの」、あるいは「陶磁器(とうじき)」と呼びます。

乾かしただけの土は、水につけるとまた泥に戻ってしまいます。ところが窯でおよそ 600℃を越えるまで焼くと、粘土の粒の中に閉じこめられていた水が抜けて性質が変わり、もう水には溶けなくなります。さらに 1,200℃を越えるような高温では、土の中の長石(ちょうせき)などの鉱物が溶けてガラスのようになり、粒と粒のすき間を埋めながらかたく締まっていきます。これを「焼き締まる」といいます。

陶芸とは、この「土が石に近いものへ変わる」という大きな変化を、手と火の力で起こすものづくりだといえます。

土から器が生まれるまで

教室の棚に、形をつくって乾かしている途中の湯のみや小鉢が並んでいる
形をつくった器は、棚の上で何日もかけて乾かします。乾き具合によって色が少しずつ白っぽく変わっていきます。

ひとつの器ができるまでには、おおまかに次の工程があります。どの工程も、前の工程がうまくいっていることが前提になっています。

  1. 土を選ぶ つくりたいものに合わせて粘土を選びます。→ 陶芸で使う土
  2. 土練り 土のかたさをそろえ、中の空気を抜きます。→ 土練り
  3. 成形(せいけい) 手びねりやろくろで形をつくります。→ 成形の基本
  4. 削り・乾燥 半乾きのうちに形を整えて高台(こうだい:器の底の輪)を削り、しっかり乾かします。→ 削りと乾燥
  5. 素焼き(すやき) 800℃前後で一度焼き、丈夫で水を吸う素地(きじ)にします。
  6. 絵付け・釉掛け(くすりがけ) 絵や模様を描き、釉薬(ゆうやく)を掛けます。→ 釉薬の基本
  7. 本焼き(ほんやき) 1,200〜1,300℃の高温で焼き、土を焼き締め、釉薬をガラスにします。→ 焼成の基本

「陶器」と「磁器」のちがい

やきものは、原料と焼く温度によって大きく 4 つに分けられます。ふだん「陶芸」と呼んでいるものの多くは、粘土でつくる陶器です。

種類主な原料焼く温度の目安特徴
土器(どき)粘土1,000℃より低い釉薬を掛けず、水を吸いやすい。縄文土器や素焼きの植木鉢など※ここで説明する「素焼き」の工程とは別のものです
陶器(とうき)粘土(陶土)1,100〜1,250℃前後土の粒が残り、少し水を吸う。ぽってりと温かみがあり、たたくと鈍い音。「土もの」とも呼ぶ
炻器(せっき)粘土1,200〜1,300℃前後よく焼き締まり、水をほとんど吸わない。釉薬を掛けない「焼き締め」の器など
磁器(じき)陶石(とうせき)という石の粉1,250〜1,350℃前後白くかたく、水を吸わない。薄い所は光にかざすと透け、たたくと澄んだ音。「石もの」とも呼ぶ

温度は一般的な目安です。実際には、使う土や釉薬、窯によって変わります。

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なぜ必要なのか

ひとことで言うと土は、水を含んだまま急に熱すると割れてしまいます。だから陶芸では「練る」「乾かす」「2 回焼く」という手順を、ひとつずつ順番に踏む必要があります。

工程が多いのには、理由がある

陶芸の工程は、はじめてのかたには遠回りに見えるかもしれません。でも、どれも「割れない・歪まない・使える器にする」ために欠かせないものです。

練るのは
土の中に空気やかたさのムラが残っていると、形がつくりにくいうえに、乾燥や焼成のときに割れる原因になるからです。
乾かすのは
水が残ったまま焼くと、土の中で水が水蒸気になって逃げ場を失い、器が割れたり破裂したりするからです。
素焼きをするのは
乾いただけの土はもろく、水にふれると崩れてしまうからです。一度焼いておくと、丈夫で、しかも釉薬をほどよく吸う素地になります。
本焼きをするのは
土をかたく焼き締め、釉薬を溶かしてガラスにし、毎日の食卓で使える強さにするためです。

土は、乾くと焼くとで小さくなる

粘土は、乾かすと水が抜けた分だけ縮み、焼くとさらに縮みます。土の種類によって違いますが、つくったときから焼き上がるまでに、大きさはおよそ 1 割〜1 割 5 分ほど小さくなります。直径 10cm でつくった湯のみなら、焼き上がりは 8.5〜9cm ほどになる計算です。

この「縮み」が、器のあちこちでそろっていないと、引っ張り合ってひびが入ったり、形が歪んだりします。陶芸の工程の多くは、この縮みをできるだけ均一に、ゆっくり進めるための工夫でもあります。

時間がかかるのも、仕組みのうち

乾燥だけで 1〜2 週間、窯で焼いて冷ますのにも何日もかかります。教室では、形をつくってから完成までに約 1 か月ほどいただいています。待つ時間も、土がゆっくり器へと変わっていくための大切な時間です。

03

どんな点に気をつけるのか

ひとことで言うと「厚さをそろえる」「ゆっくり均一に乾かす」「急がない」。この 3 つが、どの工程にも共通するいちばんの基本です。

厚さをそろえる

厚い所と薄い所があると、乾くスピードも縮み方も変わります。割れや歪みの多くは、この厚さのムラから始まります。とくに器の底は厚くなりやすいので、削りの工程で整えます。

水分の差をつくらない

乾き具合のちがう土どうしをつなぐと、あとで縮み方の差が出て、つなぎ目から割れやすくなります。取っ手などのパーツは、本体と同じくらいの乾き具合のときに付けます。乾燥中は、風や直射日光が一方からだけ当たらないようにします。

急がない

早く乾かそうとドライヤーを当てたり、日なたに出したりすると、表面だけが先に縮んでひびが入ります。窯の温度も、上げるときと下げるときにゆっくり進めます。陶芸では「急ぐと割れる」と覚えておいてください。

使う人を思い浮かべる

器は、使ってはじめて完成します。手に持ったときの重さ、口をつけたときの縁の厚み、テーブルに置いたときの安定。形をつくるときに少しだけ「使う場面」を想像すると、ぐっと使いやすい器になります。

教室では

体験教室では、練った土を用意しておくので、すぐに形づくりから始められます。乾燥・削り・焼成などのあとの工程は、教室で仕上げてお渡しします(3 回コースでは、削りと絵付け・釉掛けも自分で行います)。

写真はイメージです。