削りと乾燥
形を整え、乾かす理由

これは何か
ひとことで言うと「削り」は、半乾きになった土を削って形と厚さを整え、高台(こうだい)をつくる作業。「乾燥」は、焼く前に土の水分をしっかり抜く工程です。
削り
成形したばかりの土はやわらかく、削ることができません。数日おいて、土が革のようなかたさ(半乾き)になったら、器をろくろや手回しろくろの上に伏せて置き、回しながら「かんな」で余分な土を削り取ります。
削りでいちばん大切なのが、高台づくりです。高台とは、茶碗やお皿の底についている輪っか状の足のこと。器を支える土台であり、器を裏返したときに見える「もう一つの顔」でもあります。

- かんな
- 金属の帯や輪の形をした刃。土を薄く削り取ります。形のちがうものを使い分けます。
- 竹べら
- 形を整えたり、高台のまわりを仕上げたりします。
- なめし皮
- 水で濡らして器の口縁(こうえん:ふち)をなでると、なめらかに仕上がります。
- 針
- 口縁を切りそろえたり、厚さを確かめたりします。
乾燥
削りが終わったら、焼く前に土の中の水分をすっかり抜きます。土は乾くにつれて色が明るくなり、軽くなっていきます。乾き具合には、次のような段階があります。
| 状態 | 見た目・さわった感じ | この時期にすること |
|---|---|---|
| 成形直後 | 色が濃く、しっとりやわらかい。押すとへこむ | 形づくり |
| 半乾き | 革のようなかたさ。押してもへこみにくいが、爪で跡がつく | 削り・取っ手付け・化粧土や印の模様つけ |
| 白乾き(しろかわき) | 白っぽく軽い。ほおに当てても冷たくない | 素焼きへ |
完全に乾くまでには、器の大きさや季節によって、数日から 1 週間以上かかります。
なぜ必要なのか
ひとことで言うと削ることで器は軽く、厚さがそろって割れにくくなります。そして、水分が残ったまま焼くと、器は割れたり破裂したりしてしまいます。
削る理由
- 厚さをそろえるため
- 成形のときにどうしても厚く残る底や腰(器の下のほう)を削って、全体の厚さをそろえます。厚さがそろうと、乾くときも焼くときも縮み方がそろい、割れや歪みが起きにくくなります。
- 軽く、持ちやすくするため
- 器の重さは、手に取ったときの印象を大きく左右します。余分な土を削ることで、見た目より軽い、手になじむ器になります。
- 高台をつくるため
- 高台があることで、器はテーブルの上で安定し、熱いものを入れても底を持ちやすくなります。また、本焼きでは高台の部分に釉薬を掛けずに焼くので、溶けた釉薬が窯の棚板にくっつくのを防ぐ役目もあります。
乾かす理由
- 水蒸気で割れないようにするため
- 水分が残ったまま窯に入れると、温度が上がったときに土の中の水が水蒸気になり、逃げ場を失って器を内側から押し割ります。ひどいときは窯の中で破裂し、まわりの作品まで壊してしまいます。
- 縮みを焼く前に済ませておくため
- 土は乾くときにも縮みます。この縮みをゆっくり、焼く前に終わらせておくことで、焼成での負担を減らします。

乾かし方で、ひびが入ることもある
器の口縁は薄く、空気にふれる面も多いので、底より先に乾いて縮みます。そのとき、まだ湿っている底が口縁や胴に引っ張られて、ひびが入ることがあります。茶碗やお皿の底の中央に入る「S 字割れ」は、この乾き方の差が原因の代表的なひびです。ゆっくり、均一に乾かすことが大切なのは、このためです。
どんな点に気をつけるのか
ひとことで言うと削りはタイミングが命。乾燥は「ゆっくり・均一に」が合言葉です。乾いた器はもろいので、扱いはやさしく。
削りどきを逃さない
やわらかすぎるうちに削ると、器の形が崩れたり、かんなが土に食いこんだりします。反対に乾きすぎると、かたくて削れず、かんなが跳ねて器にひびが入る原因になります。乾きすぎてしまったときは、霧吹きや濡れた布で少しだけ湿りを戻してから削ります。
削りすぎに注意
夢中で削っていると、底に穴があいてしまうことがあります。ときどき手を止めて、指で底をはさんで厚さを確かめたり、軽くたたいて音を聞いたりしましょう。削り終わったら、高台の内側(底の中心)を指やへらで軽く押さえて土を締めておくと、底割れの予防になります。
ゆっくり、均一に乾かす
- 直射日光や、扇風機・エアコンの風が当たる場所は避け、日陰で乾かします。
- 乾き始めはビニールをゆるくかけて、口縁だけが先に乾かないようにします。
- 取っ手など細い部分は先に乾きやすいので、濡らした紙やビニールで覆っておきます。
- 器の下にも空気が通るよう、板や網の上に置き、ときどき向きを変えます。
乾いたかどうかの確かめ方
全体が均一に白っぽくなり、ほおに当てても冷たさを感じなければ、乾燥はほぼ完了です。冷たく感じるのは、まだ水分が残っていて、蒸発するときに熱を奪っているからです。
乾いた器はとてももろい
乾燥した器は、焼く前の土なので、ちょっとした力で欠けたり割れたりします。持つときは口縁や取っ手を持たず、両手で胴や底を支えるようにします。
体験の 3 回コースでは、2 回目に自分で削りを行います。1 回コースでは、削りと乾燥は講師が行います。
写真はイメージです。