削りと乾燥

形を整え、乾かす理由

ろくろの上に伏せた茶碗の高台を、かんなで削っているところ

形ができたら、それで終わりではありません。削って整え、ゆっくり乾かすことで、軽くて丈夫な器になります。

このページの内容

  1. 01これは何か
  2. 02なぜ必要なのか
  3. 03どんな点に気をつけるのか
01

これは何か

ひとことで言うと「削り」は、半乾きになった土を削って形と厚さを整え、高台(こうだい)をつくる作業。「乾燥」は、焼く前に土の水分をしっかり抜く工程です。

削り

成形したばかりの土はやわらかく、削ることができません。数日おいて、土が革のようなかたさ(半乾き)になったら、器をろくろや手回しろくろの上に伏せて置き、回しながら「かんな」で余分な土を削り取ります。

削りでいちばん大切なのが、高台づくりです。高台とは、茶碗やお皿の底についている輪っか状の足のこと。器を支える土台であり、器を裏返したときに見える「もう一つの顔」でもあります。

形のちがう金属のかんな、竹べら、なめし皮、スポンジ、針などの道具を並べた写真
削りと仕上げの道具。かんな(金属の刃)のほか、竹べら、なめし皮、スポンジ、針などを使い分けます。
かんな
金属の帯や輪の形をした刃。土を薄く削り取ります。形のちがうものを使い分けます。
竹べら
形を整えたり、高台のまわりを仕上げたりします。
なめし皮
水で濡らして器の口縁(こうえん:ふち)をなでると、なめらかに仕上がります。
針
口縁を切りそろえたり、厚さを確かめたりします。

乾燥

削りが終わったら、焼く前に土の中の水分をすっかり抜きます。土は乾くにつれて色が明るくなり、軽くなっていきます。乾き具合には、次のような段階があります。

状態見た目・さわった感じこの時期にすること
成形直後色が濃く、しっとりやわらかい。押すとへこむ形づくり
半乾き革のようなかたさ。押してもへこみにくいが、爪で跡がつく削り・取っ手付け・化粧土や印の模様つけ
白乾き(しろかわき)白っぽく軽い。ほおに当てても冷たくない素焼きへ

完全に乾くまでには、器の大きさや季節によって、数日から 1 週間以上かかります。

02

なぜ必要なのか

ひとことで言うと削ることで器は軽く、厚さがそろって割れにくくなります。そして、水分が残ったまま焼くと、器は割れたり破裂したりしてしまいます。

削る理由

厚さをそろえるため
成形のときにどうしても厚く残る底や腰(器の下のほう)を削って、全体の厚さをそろえます。厚さがそろうと、乾くときも焼くときも縮み方がそろい、割れや歪みが起きにくくなります。
軽く、持ちやすくするため
器の重さは、手に取ったときの印象を大きく左右します。余分な土を削ることで、見た目より軽い、手になじむ器になります。
高台をつくるため
高台があることで、器はテーブルの上で安定し、熱いものを入れても底を持ちやすくなります。また、本焼きでは高台の部分に釉薬を掛けずに焼くので、溶けた釉薬が窯の棚板にくっつくのを防ぐ役目もあります。

乾かす理由

水蒸気で割れないようにするため
水分が残ったまま窯に入れると、温度が上がったときに土の中の水が水蒸気になり、逃げ場を失って器を内側から押し割ります。ひどいときは窯の中で破裂し、まわりの作品まで壊してしまいます。
縮みを焼く前に済ませておくため
土は乾くときにも縮みます。この縮みをゆっくり、焼く前に終わらせておくことで、焼成での負担を減らします。
板の上に並べた器を、ビニールでゆるく覆って棚の日陰で乾かしているところ
乾き始めは、ビニールをゆるくかけて、ゆっくり乾かします。

乾かし方で、ひびが入ることもある

器の口縁は薄く、空気にふれる面も多いので、底より先に乾いて縮みます。そのとき、まだ湿っている底が口縁や胴に引っ張られて、ひびが入ることがあります。茶碗やお皿の底の中央に入る「S 字割れ」は、この乾き方の差が原因の代表的なひびです。ゆっくり、均一に乾かすことが大切なのは、このためです。

03

どんな点に気をつけるのか

ひとことで言うと削りはタイミングが命。乾燥は「ゆっくり・均一に」が合言葉です。乾いた器はもろいので、扱いはやさしく。

削りどきを逃さない

やわらかすぎるうちに削ると、器の形が崩れたり、かんなが土に食いこんだりします。反対に乾きすぎると、かたくて削れず、かんなが跳ねて器にひびが入る原因になります。乾きすぎてしまったときは、霧吹きや濡れた布で少しだけ湿りを戻してから削ります。

削りすぎに注意

夢中で削っていると、底に穴があいてしまうことがあります。ときどき手を止めて、指で底をはさんで厚さを確かめたり、軽くたたいて音を聞いたりしましょう。削り終わったら、高台の内側(底の中心)を指やへらで軽く押さえて土を締めておくと、底割れの予防になります。

ゆっくり、均一に乾かす

  • 直射日光や、扇風機・エアコンの風が当たる場所は避け、日陰で乾かします。
  • 乾き始めはビニールをゆるくかけて、口縁だけが先に乾かないようにします。
  • 取っ手など細い部分は先に乾きやすいので、濡らした紙やビニールで覆っておきます。
  • 器の下にも空気が通るよう、板や網の上に置き、ときどき向きを変えます。

乾いたかどうかの確かめ方

全体が均一に白っぽくなり、ほおに当てても冷たさを感じなければ、乾燥はほぼ完了です。冷たく感じるのは、まだ水分が残っていて、蒸発するときに熱を奪っているからです。

乾いた器はとてももろい

乾燥した器は、焼く前の土なので、ちょっとした力で欠けたり割れたりします。持つときは口縁や取っ手を持たず、両手で胴や底を支えるようにします。

教室では

体験の 3 回コースでは、2 回目に自分で削りを行います。1 回コースでは、削りと乾燥は講師が行います。

写真はイメージです。